中村こどもプレゼンツ子どもに見せたい写真集 / 写真集ってなんだろう 【連載第1回】
写真集ってなんだろう。
こどもに写真を教えよう。
ということは、写真集だ。
写真がたくさん載っているものを見れば、勉強になるにちがいない。
とある大人は、けっこう安易にそう考えました。
では、どんな写真集が勉強になるのだろう。
「こんな絵本を読めば、こどものためになりますよ」
そう教えてくれる情報はたくさんあれど、
「こんな写真集を見れば、こどものためになりますよ」
そんな情報はほとんどない。ないからこそ、おもしろい。
ないということは、すばらしい。
えらい写真家の先生だったら、
まずは、ロバートキャパからだろう。
そう考えたかもしれません。
そこに写真の歴史があるからです。
えろい写真家の先生だったら、
まずは、アラーキーからだろう。
そう考えたかもしれません。
こどもにも安心な、エロくない写真集もあるからです。
こどもたちには、歴史がありません。
なんと、歴史を持って生まれてこないのです。
こどもたちの歴史は、人類の歴史とちがっていいのです。
むしろ、ちがわなくてはいけません。
ちがうから、可能性があるのです。
ないということは、すばらしい。
ビバ、ナイ! ナイナイ!!
そう考えると、ナイナイというコンビが人気があったり、
いないいないばぁで笑ってしまうことにも、説得力が感じられます。
この本は、ひらすら動物が3匹写っている写真をあつめたものです。
1でもなく、2でもなく、3なのです。
人はどうしてか、3にピピっとくるようです。
不思議です。
ぼくは、写真を撮るこどもたちと一緒にいて世紀の発見をしました。
普通すぎて、きっと誰もすごいと思ってくれないでしょう。
なんと、こどもたちはほうっておくと、1を撮ることが多いのです。
偶然、2を撮ってくることもあります。
しかし、3はほとんどない。
この写真集は、こどもたちに
「3って、存在するんだよ」
「3って、どう思う」
「3って、いいかもね」
そういう歴史を刻むことができる1冊です。
3を撮ってもいいということを知ったこどもたちは、
3という選択肢をもつことができるようになるでしょう。
1、2、3 (ナショジオワンダーフォトブック) http://nationalgeographic.jp/nng/sp/123/
~ 中村こどもさんによるブックセレクション『子どもに見せたい写真集』。次回は7月17日(水)頃の掲載を予定しています。お楽しみに! ~
※中村こどもさんのインタビューはこちら
#009 コドグラファー育成人・中村こどもさん http://the-forum.jp/zine/?p=477
2013.07.09 Tue by 中村 こども from Books