天性の旬ネタ収集家・高島健一さん

行列にはとりあえず並び、
買い物がなくてもデパートを巡る。

―― 　高島さんは、25年もの間、最新の技術や商品を紹介する講演を行っておられますが、ああいった情報を集めるのは、大変ではないですか？

高島 　いいえ、まったく(微笑)
私は、子供の頃から、話題の場所には真っ先に行き、誰より早く、新しい物を手にしているタイプだった。単純に、当時はそれが嬉しかったんですよ。今も、やっていることは同じですね。
行列があれば、とにかく並んでから「何に並んでいるんですか？」って尋ねますし、少しでも時間があれば、デパートや東急ハンズに行って、上から下まで歩き回る。見たことがない物を探したり、新しい人の、新しいアイデアから生まれた、技術や商売に驚くのが楽しい！要は、趣味なんですよ。
日銭を稼ぐ「商売」は、一番楽にできる得意なことであるべきだと、思っているんです。何に成りたいとか、世の中をどう動かしたいとか、もちろんそう言うことも、「仕事」にしていいけれど、「商売」にはしない方がいいと。私が自然にやっていた得意なことが、誰かの役に立つならと続けてきた先に、今があると言うだけなんです(微笑)

―― 　なるほど。
だけど、新しい物の中には、自分にとって面白くなかったり、格好良くない物もあるのではないですか？それでも、買う？

高島　もちろんありますよ(笑)。それでも買いますね！
みんなが魅力を感じているものには、何か、魅力があると思うんですね。

「Touch＆Think｣

これは、私のオヤジの教えでもあったんですが、とにかく実際に行ってみる。買って、使ってみてから考えるんです。
行ったことがない国のニュースは、聞き流してしまっても、行ったことのある国がニュースになると、気になるじゃないですか。それと同じで、実際使っている物の情報は、何気ない会話の中からでさえ、無意識に拾うようになるんですね。結果的に、手にする前の何倍もの情報が得られる。それが、私には大切なことなんです。
だから、新しい物を見つけたら、ほとんど衝動買いですよ。自分の好き嫌いなんてどうでもよく。その結果、結局何がいいのかわからないまま、放置してある物なんて、いっぱいあるんですよ！(笑)
そういう時は、良さが分かっている人に、ひたすら聞いて回りますね。知ったかぶりが、一番いけないと思っているので。それでも、やっぱりわからない、なんて物もあります。残念ながら…(笑)

―― 　そういう新しいものの中に、コンピュータやインターネットも、あった訳ですよね。高島さんは、95年当初から、IT関係のお仕事もされていますが、新技術や新商品が、日進月歩で開発されるその分野は、やっぱり面白いからなんでしょうか？

高島　それはあるでしょうね。(発売日当日に購入した、iPadminiを撫でながら)　ITの分野では、3ヶ月前の知識なんて考古学ですから(笑)
私がいま、一番気になっているのは、Amazon、Googleなどが発売したものも含めた、タブレット型端末の行方です。スマートフォンが若者のものだとするなら、タブレットは明らかに、中高年向けなんですよ。単純に画面が大きくて、老眼でも見やすいんですから。
それも踏まえて、高齢化し、多様化する社会の中で、これから何が起きるのか、気になりますね。時代の空気が変わってきたのを、感じていますし…。
歴史的には、12年サイクルで時代の変化が起こっているように思います。89年にベルリンの壁が崩壊、天安門事件があり、12年後、2001年に同時多発テロがあった。そして、その12年後が来年の2013年になるので、今後の12年を動かす、印象的な出来事が起きるかもしれないと注目しています。
どんな時代がやってくるかは、来年を見ずして考えられないと思っているから、いまは、常にニュートラルでいるよう心がけているんです。ヘンに先を予測したりせずにね…(微笑)

―― 　最後に。THE FORUMで、高島さんがやってみたいイベントはありますか？

高島　みんなで旬の物を持ち寄って、良さを熱く語るイベントなんて、やってみたいですね。
もちろん、新しい物でなくていいんです。その人の中で、いま最も旬な物！あるいは、流行っているから買ってみたけど、何がいいのか分からない物を持ち寄ってもいいな。集まった中に分かる人がいたら、いいじゃないですか。

高島事務所　http://www.calley.co.jp/takashima/

※　高島健一さんの著書『新しい儲け方のヒント』（日本経営合理化協会出版局）、『次の主役－社長のめしの種』（日本経営合理化協会出版局）は、THE FORUMラウンジにて実際にご覧いただけます。