THE FORUM 世田谷

#010 健やかな暮らしの解説者・内海裕子さん

健やかな暮らしの解説者・内海裕子さん

難しいことを、選ばれた人にしかわからない
オタクな世界にはしたくない

―― 内海さんは、生活情報サイト、オールアバウトの「健康・医療チャネル」「ライフスタイル」等のプロデューサーを経て、最初にお会いした時は、フリーのウェブプロデューサーをなさってましたよね。
その後、ご出産を機に少しのんびりされているのかと思いきや、『手帳美人の時間術』『ママのための子育てツイッター入門』『快眠のための朝の習慣・夜の習慣』を、1年に1冊のペースで発表。現在は、睡眠改善インストラクターとして、各種メディアにご出演の傍ら、自由大学「睡眠学」講座で教鞭を振るうなど、ますますのご活躍に驚きました!

内海 『ママのための子育てツイッター入門』は、出産して「孤独な子育て=弧育て」の大変さを実感した時に、同じ思いをしているママたちを、少しでも楽にできたらと思って。子育てしながら、ウェブやTwitterのことを書けるのは自分しかいないかもと、書いたんです。大変とか、面倒とは思わなかったですね。

小さい頃から、ピアノや歌で、舞台に立つような経験をしていたからか、発信したり、人とコミュニケーションするのが大好きなんですよ。何かいいものを見つけたら、すぐ隣の人にお伝えしたい! 情報を共有したい!みたいなのは、根本的欲求と言うか、気質でしょうね。

―― 最近は、農大醸造学科卒の“みそソムリエ”として、手作り発酵食の教室を主宰しつつ、発酵食をテーマにした執筆も加わり、活動の幅はさらに広がっていますね。オールアバウト時代から、現在の発酵食に至るまで、内海さんの活動には、ライフスタイルや健康と言うテーマが、一貫しているような印象を受けるのですが…。

内海 そうですね。父が製薬会社で働いていて、母も、当時身体の弱かった弟を気遣って、独学で様々な健康法を勉強しているような人だったので、健康については、自然と関心が高まる環境だったと思います。その上で、毎月楽しみにしていた、学研の「科学」と「学習」の影響が、たぶん大きかったんですよ(笑)

…私が小学生の頃は、世の中がバブルに向かいつつ、環境汚染が問題視された時代でした。だから、子どもの雑誌ながらも、農薬とか、酸性雨、河川の汚染がどうのと書かれていて、そういうのに、いちいち心を痛めていましたね。

その中に、ある時たまたま「食が危ない」って言う、大人向けの雑誌サンプルが入っていたのを読んで…。「だまされた〜!」と思ったんですよ(笑)。輸入食品に含まれる農薬や、発ガン性のある着色料、添加物の存在を知って「健康になると思って食べていたのに、将来そんな影響があるなんて〜!」って。それが私の愛読書になり、もう何回も、穴が開くほど読んでいるうちに「健康な食品を作りたい」と思うようになって、高校に入る頃には、微生物や発酵の道に進もうと決めていましたね。

とは言え、実際に大学に入ってみると、どうやら私は研究職に向いてない。つまり、ピコ単位の細かい作業を伴う実験が、性格的に苦手だとわかってしまって(苦笑)。

進路に悩んでいた時に、偶然、雑誌創刊の場で働ける機会があり、メディアで情報を発信する魅力に、のめり込んでしまったんですね。それで、健康や環境に対する興味はそのまま、だれかが導いた結果を、伝わりやすく発表する人になろうと思ったんです。

 

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―― なるほど。それにしても、内海さんの本は、何と言っても読みやすく、キャッチーで身近な導入部から、気付くと奥深い世界、実践法へ導かれてしまう感じが、素直にうまいなぁと感じてしまうんですが。

内海 それはたぶん、オールアバウトでガイドさんの記事を編集し、時に書き方の指導までしていた経験が、生きているのかも知れません。オールアバウトで記事を執筆されているのは「その道のプロ」の方々ばかりなので、みなさんいくらでも難しく書けるんですよ。けれど、それを一般の人に伝えたいと考えると、やっぱり分かりやすい解説とナビゲーションが必要。難解な内容を“伝わる文章”にするにはどうしたらいいのかを、数え切れないほどの専門家の記事を読んで、何年間も毎日試行錯誤していたので、訓練されちゃったんでしょうね。

特にインターネットの世界では、大半の人が、短い時間の中で情報が欲しいと思っている。時間がないんですよ。昔は、選ばれた人が文章を書く時代だったから、難しい文章が格好良かったかも知れないけれど、難しいことを、選ばれた人にしかわからない、オタクの世界にしたくないって言うのがあるんです。

一般ユーザーの目線で、いかに身近に、わかりやすく伝えるか。それが自分の使命だと思っているし。そう考えると、オールアバウトを経験していなければ、本は書いてなかったでしょうね。文章書くこと、苦手でしたし…!

(弦巻:ええっ?!)

高貴な文章を書く人から見たら、私の文章なんてトーンが陳腐だと思われるのかも知れないけど、私のはアートではないんです。伝わりやすい“解説文章”ですから(微笑)。

…実は、大学卒業後1年間、アメリカに留学して、日本文化を教えていたことがあったんです。初めて、日本人や、日本文化に触れる人に、少しでもいい印象を持ってもらえるように奮闘していた。いま仕事をしている時も、同じ感覚なんですよね。例えばオセロみたいな盤があって、私がいない世界が、真っ白だったり真っ黒だったりしたとしたら、私と言う一点がポンと入り込むことによって、ばらばらばらっと何かしら変わっていく感じが、好きなんです。

 

P5161863 著書の中でも紹介されている、バタフライストッパーのお手製手帳

 

―― 最後に。
THE FORUMで、内海さんがやってみたいイベントはありますか?

内海 「醗酵茶会@FORUM」もいいですね。利き味噌会も一緒にやるとか。
大人向けシリーズとしては、日本酒の微生物を知るとかね!
面白い資料、つくりますよ〜!(笑)

取材後・・・「醗酵茶会@THE FORUM 世田谷」 開催決定!

EarthPlayer×醗酵♥茶会のコラボイベント

『発酵する地球とカラダのはなし』

2013年8月8日(木)15:00〜予定
詳細は近日中にtopicにてお知らせいたします。

※EarthPlayer = アースプレイヤーは地球を感じ、興味を持つことで知りたい!という思いを持つきっかけ創りをしている団体です。

 

内海裕子 http://hirococoro.com/
醗酵♥茶会 http://www.hakko-chakai.com

※内海裕子さんは、FORUM Booksのコーナーで本を紹介しています。

~ 大切なものは目に見えない ~
【第1回】 人生を変えた“壮大なミクロ”のお話し
【第2回】 あなたのカラダ「発酵」してる?
【第3回】 じつはカビなんです…「麹」と「塩麹」のお話し

※内海裕子さんの著書『手帳美人の時間術』(マガジンハウス)、『ママのための子育てツイッター入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『快眠のための朝の習慣・夜の習慣』(だいわ文庫)は、THE FORUMラウンジにて実際にご覧いただけます。

  

2013.06.19 Wed by 弦巻 響子 from interview

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