中村こどもプレゼンツ子どもに見せたい写真集 / 未来の写真ってなんだろう 【連載第2回】
未来の写真ってなんだろう。
前回の記事をぼくの写真の生徒たちに見せてみた。
すると、次はこれがいい!と、
ぼくが決めていた1冊をはねのけたのは、コドグラファーあや。
人を撮るのが好きな10才の女の子だ。
上にある紹介写真は、9才のコドグラファーきーくんが撮ってくれた。
この取り組みそのものが、ほのかに未来である。
紹介する「未来ちゃん」は、ちいさな女の子の写真集。
川を桶で渡ったり、裸で海を泳いだりしてる様子が写されている。
「未来ちゃん」だけど、レトロな世界にお住まいなのだ。
少女の周りがたくさん写されているからその様子がよくわかる。
この写真集からは、周囲をたくさん写すことのすばらしさを知ることができる。
有名な昔話からも、そのことがわかるので紹介したい。
おじいさんが山に芝刈りに行って、顔のアップを撮る。
おばあさんが川に洗濯に行って、顔のアップを撮る。
桃太郎が生まれたので、顔のアップを撮る。
桃はどこにも写っていなかった。
おまえは桃から生まれたんだよ、とおばあさんが成長した桃太郎に打ち明けたとしても、
桃太郎は、ジョークだと思って笑ってしまうかもしれない。
果たして、おじいさんとおばあさんはどうすればよかったのだろう。
デジカメのちいさなモニタが、甘くささやく。
「主役がこんなに小さくていいんですか?」
「もっと大きく写したほうがいいんじゃないですか?」
「未来ちゃん」を眺めながら、どの写真が好きか選んでみてほしい。
少女がどのくらいの大きさで写っているか確かめてみて、
それを被写体の大きさだけでいいからマネっこしてみよう。
どんな場所でも、近寄って撮れば、同じ写真になりがちなのだ。
未来の写真は、離れて撮られたものが増えるだろう。
近寄ってみたいときは、ズームすればいいだけなのだから。
~ 中村こどもさんによるブックセレクション『子どもに見せたい写真集』。次回最終回は7月24日(水)頃の掲載を予定しています。お楽しみに! ~
※中村こどもさんのインタビューはこちら
#009 コドグラファー育成人・中村こどもさん http://the-forum.jp/zine/?p=477
2013.07.17 Wed by 中村 こども from Books