ときのうてな~水口を祀る~ #01
新緑をたたく雨音が、耳に心地よかった5月の週末。
「第一回 ときのうてな ~水口を祀る~」が、サロンにて開催されました。
和暦研究家・高月美樹さんが製作した、明治の教科書から採取した文字と、
江戸時代の絵を組み合わせたものが、壁を飾ります。
ハナに霊性をみてきた日本人のこころ、
水口に立てるハナの意味が彷彿としてきます。
こちらは、吉田千家流の家元であった高月虹器が残した文政期の活花図を、
モダンな掛け軸に仕立てたもの。
軸棒に気泡が入っている様が、水を彷彿とさせる表装です。
ラウンジには、参加者がお持ちくださった季節の花々が集まります。
可憐な紫色の小花はミヤコワスレ。
承久の乱に敗れ、佐渡へ流された順徳帝が、京を去る折、
華やかな京を想起する、紫の野菊に目をとめて、
「都を忘れることにしよう」と言ったことに由来しています。
お供えのお菓子は、庭で摘んだあじさいの若葉に載せて。
はじめに、世話人3人による簡単なレクチャーが行われました。
高月美樹さんは、各地で行われている水口祭りの様子を紹介。
ジオライター・滝澤恭平さんが、世田谷を中心とした東京の水みちについて解説し、
FORUMの庭も再生させた、造園家・塚田有一さんは、
水とみどりについてお話しくださりました。
華道家でもある塚田さんが、FORUMの水口である、井戸に供える花を束ねます。
使った花材は全て、この日、庭で咲いていたもの。
高月さんのお着物は、新緑をイメージした葉っぱ模様の紬。
帯は牡丹と藤の花、帯留めには水を感じさせる象牙の鯉。
季節感と大人のあそび心も粋な装いが、場に花を添えます。
それぞれが、好きな花をえらんで。
皆で庭へ。
塚田さんが束ねた花はお菓子と共に、
水盤をイメージした花器に供えられました。
紙垂をつけた御幣を立てて、水口のお祓いをしていただきます。
FORUMの水の流れ、そして、良縁が絶えぬよう祈りをこめて、
皆で「ひふみ祝詞」を唱えたあと、
ひふみ よいむなや こともちろらね
しきる ゆゐつわぬ そをたはくめか
うおえ にさりへて のますあせゑほれけ
庭を流れる小川にそって、おもいおもいに花を供えました。
流れゆきついた池には、柔らかな雨が水紋を描いています。
最後はふたたびサロンに集い、自己紹介も合わせて、感想や印象を述べ合いました。
次回の「ときのうてな」は、笹の節句でもある、旧暦の七夕にちなんで、
8月初旬の開催を予定しています。どうぞ、お楽しみに。
なお、この日に合わせ、世話人3人による連歌ならぬ連“本”も行われました。
発句(本) 塚田有一さん みづ と みどり
脇 滝澤恭平さん 村上春樹は武蔵野台地の「水みち」を見たか?
挙句(本) 高月美樹さん ふるえゆらゆらとふるえ
3人がそれぞれの切り口で水を読み解いた、当日の雰囲気も感じていただけます。
ぜひ、ご覧ください。
image movie by STUDIO PATHOFEU
2013.05.23 Thu by 弦巻 響子 from event