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Movie Recommend #01 Fly Me To Minami ~恋するミナミ~

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  言葉が通じないのって切ない。

  嘘をつかれても気付かないし、
  伝えたいことが伝わらないから。

  でもそれが、
  恋をするということじゃない?

 

マヤン・カレンダーがひとつの終焉を迎え、新たな始まりの予感が世界を煌かせていた2012年のクリスマス、物語ははじまる。

香港の美人編集者セリーン(シェリーン・ウォン)は、年末に大阪・ミナミを取材することになるが、急遽同行できなくなったカメラマンの代わりに、現地通訳ナオミ(石村友見)の弟で、就活中の大学生、タツヤ(小橋賢児)を雇うはめになる。

一方、キャビンアテンダントとしてソウルと大阪を往復しながら、ソウルでセレクトショップを経営するソルア(ペク・ソルア)は、コリアンタウンで店を持つ、シンスケ(竹財輝之助)との苦しい恋に悩んでいた。恋の未来を確かめるため、年末年始を日本で過ごす覚悟をしたソルアもまた、一年で最も賑わう大阪・ミナミに降り立つ。

カウントダウンで賑わうミナミのひっかけ橋(戎橋)や、初詣客ひしめく難波神社を舞台に、国籍も言葉も異なる男女4人の、切なくも美しいラブストーリーが交錯する。

 

スチール01
(c)Lim Kah Wai / Duckbill Entertainment

ソウル、香港、大阪・ミナミの、約40カ所のオールロケで撮影された本作。セリフも、韓国語、広東語、英語、そして大阪弁が飛び交う、アジアンミクスチャーな作品だが、どの街にも、アジア共通の熱と光、人情が溢れているように感じ、次第に国境を越える感覚が押し寄せる。

監督を務めたのは、マレーシア出身で大阪育ち、自ら“シネマドリフター”(漂流する映画作家)を名乗り、“無国籍映画"に世界が注目する気鋭の映画監督、リム・カーワイ氏。雑多なアジアの街が持つ、エネルギッシュな熱気と、かげろうのような美しさを、鮮やかなコントラストで描き出している。

企画・製作総指揮は、FORUMでも取材させていただいた、“ベンチャー創業の熱伝道人”加藤順彦氏。「昨年夏、尖閣諸島と竹島問題で、日・中・韓が揺れているのを外から見ていて、映画で何かメッセージが出せないかと思った。洋画でも邦画でもない、アジア映画を作ったつもり」とのコメントが。政治問題に対して、映画と言う共通言語で、各国の人々に、何かを伝え、思い出させようとしている加藤氏の姿勢に、心より敬意を表したい。

さらに加藤氏からは「映画館を出た瞬間、目の前にいる男性と恋をしたくなるような作品を作りたかった(笑)」とのコメントも。確かに、言葉が通じても通じなくても、会いたい時に会えない、伝えたいことが伝わらない、恋のもどかしさや切なさは同じ。それよりも、恋をしているその事が、人生のかけがえない時間であり、恋をする女性はやっぱり、まばゆく美しい。

スチール02
(c)Lim Kah Wai / Duckbill Entertainment

「最近恋をしていない」「出会いがない」そんな女性にこそ観てほしい。どんな恋も、堕ちたモン勝ち、女性を綺麗にさせる魔法なのだと思い出させてくれるから。

3月に開催された『第8回 大阪アジアン映画祭』のワールドプレミア上映され、全ての回が満席、立ち見の盛況を博した『Fly Me To Minami~恋するミナミ』。

肩越しの空白が寂しくなる、ロマンティックな恋の季節にふさわしく、
10月、待望の全国公開が予定されている。

 

公式サイト http://flyme2minami.com/
CREATOR’S PARK スペシャルインタビュー/リム・カーワイ監督×小橋 賢児さん×ベク・ソルアさん http://creatorspark.info/?p=15368

 

2013.05.29 Wed by THE FORUM official from Movie

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