思考の変遷 130327
2013.3.28 WATARU MUTO
The FORUMという場所を去年の10月ぐらいにオープンした。立地は決してよくないが、建物がとても素晴らしい。その建物をシェアオフィスとして運営している。
この素晴らしい建物と出会ったのは2011年の秋ぐらい。シェアハウスを多く運営していたので、お声がかかった。リーマンショックと、震災の影響でこういった和洋折衷建築好きの外国人エキスパッドが皆本国に帰ってしまい、高い賃料を払える人がいなくなってしまった。その運用方法をオーナーさんは困っていた。シェアハウスとして運用ができないかという問いかけだった。
僕らが提案したのは、改装して、シェアオフィスとすること。
こんな立地でオフィス!?と多くの人が懐疑的だった。
僕も改装費を投資家から投資してもらおうと思ったが、理解は得られなかった。
じゃー自分たちでやるしかない。お金をかき集めて、内装を変更。固定家賃で借上げて、このプロジェクトがスタートした。普通この場所でリスクとらないよ、と、みんな思っている。
結果、現在、まだ満室にはならず、普通のプロジェクトよりも苦戦している。
でもこれは仕方ない。こういった価値を理解してもらえる人に出会っていくのには時間がかかる。
利便性という視点でオフィスを見ていったときに、確かにこの立地はない。
それら多くの現実的なことを凌駕して、この空間で過ごし、この空間で仕事をし、この空間で出会う人たちとの関係性に、価値を感じる人。1000人に一人とかそれぐらいではなかろうか。
この場所には普通の人は集まってこない。やはりとても強くて、魅力的で、何かエネルギーを発する人。そういう人のみが集まってきている。
収益性という視点のみで考えれば、同じお金かけるならもっと儲かる案件はある。しかし、どうもそうはいかないんだよな。そういう案件は投資家さんのお金を使ってしっかり儲けてもらう。
難易度高くて、儲からなそうだけど、何か大きな価値を感じるもの。そういうものをリスクとってやってしまう。そういう習性がある。
でも、収益性のみならず、総合的価値を享受するには、実は近道でもある。なぜなら、こんな変な物件に集ってくる人は、それはそれは魅力的で力のある人たちばかりだからだ。今後入居者の方もこの場で紹介していきたい。運営している我々、社員たちも、そんな人たちと普通じゃ会えない。普通じゃ会えない人たちに会えること自体、会社全体としてはとても価値のあることだと考える。
事業を続けていくと、いかに、成長するかだとつくづく思う。成長とは別に去年より売り上げが伸びました、的なことではない。個人、組織、両方だが、スキルが向上し、考え方が向上し、人格が向上すること。その成長の実感のみが仕事をしている理由だったりする。
そういう意味では、僕もそうだが、社員にとっても、The Forumは成長の機会なのだ。
僕らメンバーもThe Forumの場で勉強をしていきたいと思う。
The Forumはとりあえず7年間定期借家で借りたので、7年間は続ける。我々社員は大体20代後半から30代、40代前半くらいまでだ。この年代にとっての7年間ってとてつもなく大事だ。ぼーっと過ごした人と、何か追及して過ごした人と。多分一生取り返しがつかない差がつく。そんな大事な時期にThe Forumを運営していろいろな機会に恵まれることは、とても意味があると思う。
Forumに関しては、まだまだいろいろあるが、また次回。
思考の変遷 130328
2013.3.28 WATARU MUTO
なぜシェアカンパニーかということを説明したい。
元は、ArtisansCEという社名だった。Artisans of Creative the Experienceを略したものだ。経験を作る職人。建築や不動産という物理的なものを作るのではなく、そのものを通して得られる経験を作る職人チームなのだ、という意味を込めて。
しかし、あまりにも言いづらく、電話に出る時も舌をかむので、事業が広がってきたのと、シェアハウス及びシェアオフィスの事業を主軸にし始めたときに、社名変更をした。わかりやすくしようと。
シェアカンパニーの事業はForumのようなシェアオフィスは管理の中では少数でシェアハウスの運営が大多数を占める。
なぜシェアハウスなのか。
外部環境から考える。
先進国のデフレは続く。根本的にはITインフラの極度の発達と、物流の発達により、労働力の価格競争が世界的に起こっている。つまり、所得が平準化するまで、より安い商品は作られ、我々の手に届き続ける。もちろん商品そのものの品質で勝負をするということはミクロでは行うべきだし、それによる勝ちも常にあるが、構造的根本的には、それらはまねられ、踏襲され、もっと安く作る人たちが出てくる。
つまり、所得水準の高い先進国ではデフレが続き、また、平均所得の目減りは続く。
今日より明日、明日より明後日、所得が伸びていくことが予想される、期待される時代は終わった。
そのトレンドは、例えば中国やインド、東南アジアがこれから。そして最後はアフリカか。
戦争等による、資源の略奪や、情報のコントロールがされづらくなっている。したがって、所得平準化の大きな流れは変わりづらいと考えるのが妥当。
つまり、結果、日本人の平均所得は今後も下がり続ける。
豊かに衰退していく方法を提供する
戦後日本は大きく経済発展した。資産インフレが大幅に起こった。(東京の平均的地価は7000倍程度。丸の内に至っては2万倍超)
それが20年前にとまり、デフレが始まった。
日々生活が向上、上昇していく時代から、量的、物量的には日々下がっていく時代へ移行した。
豊かさを捉えなおす方法を提供する必要がある。
より持っているから豊かか?ではない。
それが事業の骨子である。
経済的には対昨年割れ、給与も下がった、でも、豊かになった。
この感覚を作ることが、シェアカンパニーが目指す事業。
シェアハウスに関しての考え方はまた今度。
思考の変遷 序章
2013.3.27 WATARU MUTO
―― シェアカンパニーという会社をつくって、4年ちょっとすぎた。
4年前、千駄ヶ谷のビルをシェアオフィスとしてリノベーションしたのがすべての始まり・・・ 今では、シェアハウスで600室くらい。シェアオフィスをいれると700室くらいまで運営戸数が増えてきた。
新しい取り組みが多く、誰もやったことがない事業・・・・ 頻繁に問題にぶつかる。 そのたびに考え、対応し、我慢し、やり切り、落とし込んでいく・・・・
その連続しか事業はあり得ない。こんなこと人様にわざわざ伝えることでもないかもしれないが、その考えの変遷や、起こったことなどを何となく、表現したくなった。それが僕らが作っているモノに対する、お客様の理解も深めてくれるだろう。
私ごとであるが、社員も増えてきた。社員との意思疎通にも有用だ。また、不動産事業は多くの外部の方とのつながりの上で成り立っていく。そういった方たちにも考えの断片が伝わることは、悪いことではなく無駄なコミュニケーションロスを省いてくれる可能性もある。そんなことで、不定期ではあるが、ブログ的に、このThe Forumのページで、思考の変遷をメモしていこうと思う。
自転車通勤をコンセプトとしたシェアの複合ビル チャリ千駄ヶ谷 http://charisen.com/
<2013.3月の記事です>
武藤弥 千葉県生まれ。 2001年早稲田大学理工学部建築学科修士課程了。 2001~2003年株式会社スペースデザインにて用地仕入れやサービスアパートメントの開発業務等に従事。 2003年7月イデーアールプロジェクト株式会社を設立し、取締役就任。 2005年アールプロジェクト株式会社に社名変更し、リノベーション事業や商業施設の開発事業等を行う。 2009年アールプロジェクト株式会社取締役退任。 2009年ArtisansCE株式会社(現株式会社シェアカンパニー)設立、代表取締役に就任。 2009年千駄ヶ谷にシェアオフィス・シェアハウスが同居する複合ビルチャリ千駄ヶ谷オープン 2011年シェアハウスやシェアオフィス等への投資を中心として行う株式会社Triad Real Estate設立、取締役副社長に就任。 現在、Triad Real Estateにて不動産投資、株式会社シェアカンパニーにて不動産管理・運営を行っている。